編集寄りあい
概要
かつて日本列島の各地で行われていた村の寄りあいは、いくつもの話題を行き来しながらだらだらと話し合うものでした。その昔ながらの慣習にならい、民俗学者の畑中章宏さんと、本の話題や最近気になるテーマについて黒鳥福祉センターで語り合うイベントシリーズです。
成り立ち
2024年6月、NHK Eテレの人気番組「100分de名著」で宮本常一の『忘れられた日本人』が取り上げられ、その指南役として、講談社現代新書『宮本常一:歴史は庶民がつくる』の著者であり、黒鳥社刊行『『忘れられた日本人』をひらく 宮本常一と「世間」のデモクラシー』の共著者のひとりでもある民俗学者・畑中章宏さんが出演しました。この貴重な機会に何かできないかと若林と畑中さんが話し合い、そこで誕生したのが「編集寄りあい」です。
当初は、宮本常一の『忘れられた日本人』と、2024年5月に黒鳥社が刊行した『第七の男』の2冊を深掘りするイベントを企画していました。しかし、それらを包括するより広いテーマを設けるため「編集」を中心に据えることにし、最終的には、『忘れられた日本人』で描かれている村の寄りあいをモチーフに、ふたりが考えをもち寄ってだらだらと語り合う「編集寄りあい」というスタイルに決まりました。記念すべき第1回は多くの方からご好評をいただき、その後、畑中さんの著作『傍流の巨人 渋沢敬三:民俗と実業の昭和史』(現代書館)の刊行にあわせて、同年9月に第2回を開催しました。
畑中さんと若林は平凡社時代からの旧知の仲ですが、こうした企画を通じてこそ、普段の雑談では引き出せない話題を深く掘り下げることができると若林は話します。そのため、テーマや内容そのものの完成度にこだわるのではなく、自分たちの関心や試みを素直に表出し、対話を続けることにこそ価値があると考えています。今後も、自由な対話を通じて自分たちの考えをかたちにする場として、この企画を継続していく予定です。