編集の提案

編集の提案

概要

社会のなかでバラバラになっている断片をつなぐことで新しい見方を生む「編集」という行為。分断が進み混沌とする社会に必要なのは、「編集」の力なのかもしれません。
伝説の編集者・津野海太郎さんの実践と思索に、「編集」の新たな可能性を探るため、1977年から2001年に同氏が書かれた編集論をまとめた書籍を制作。また、刊行に合わせて、著者である津野海太郎さんとのトーク廃止にベントや書籍を教科書にした編集者向けの連続講義(全6回)を開催。書籍を中心に多角的にコンテンツを展開しました。


成り立ち

宮田文久さんは、『WIRED』時代から若林がお世話になっている編集者/ライターです。黒鳥社の設立後、編集者向けの雑談イベント「音筆の会」でも、柳樂光隆さん(ジャズ評論家)、若林に並ぶメンバーとして活動していただいていました。

コロナ禍の鬱々とした日々のなか、宮田さんが伝説の編集者・津野海太郎さんの本を読み、その編集論に現代性を感じたことから、編集に関わる文章だけを集めたアンソロジーをつくれないかと思い立ったのが、本書制作のきっかけです。

まず、宮田さんと若林で津野さんご本人にお会いし、企画案をご承認いただくところからスタートしましたが、その後の作業は、津野さんが在籍していた晶文社と比べたら何ほどでもない出版社である黒鳥社と、宮田さん、若林というふたりの編集者が、大先輩である津野さんの信頼を徐々に得ていくプロセスでもあったと、ふたりは言います。

宮田さんがことさら嬉しかったのは、表紙デザインを津野さんにお見せしたときに、非常に喜んでくださったことだそうです。その後も、刊行の記念に津野さんの自宅から配信イベントをさせていただくなど、制作から販売プロモーションのプロセスは和気藹々とした楽しいものとなりました。

また刊行前イベントとして、「本棚を編集する〜書店員というくせのゆくえ」と題した書店員向けのイベントを開催し、山下優さん(青山ブックセンター本店店長)、黒田義隆さんと杏子さん(ON READING店主)、荻原貴男さん(REBEL BOOKS店主)をゲストに「編集」を書店員の立場から考えるユニークなディスカッションが行われました。

また、『編集の提案』をサブテキストに、柳樂さん、宮田さん、若林の3人で、メディアや編集の仕事について熱く語り合う大放談会「音筆の会」の番外編を全6回にわたり開催しました。