週刊だえん問答
概要
2020年4月から22年4月まで続いたビジネスメディア「Quartz Japan」の連載「週刊だえん問答」。若林恵が政治・経済・文化まで世界の最先端を深く洞察し、有象無象に広がるさまざまな問題のコンテクストを明らかにする人気シリーズで、2022年までに2冊の書籍にまとめました。仮想対談形式で時事を読み解くシリーズは多くのファンを抱えており、2023年秋以降に復活予定です。
成り立ち
2020年1月から2022年9月まで、米ニュースメディア「Quartz」日本版の編集長を務めていた年吉聡太さんは、若林が『WIRED』日本版で働いていたときの副編集長で、その年吉さんから「Quartzで何か連載をやりましょうよ」とお声がけをいただいたのが始まりです。
若林にとって週刊連載は初めての試みで、毎週の「お題」をどのように探すべきか、年吉さんと頭を悩ませていたところ、アメリカ版の「Quartz」で毎週月曜日に公開されるミニ特集シリーズ〈Field Guides〉を発見し、それを読み解くものとして連載は始まりました。取り扱うお題は、新型コロナウイルス、Z世代、AI、ゲーム、プラスチック、会計といった幅広いもので、その読み解き解説連載は、当初「〈Guides〉のガイド」と名付けられました。
連載記事が溜まってきた2020年12月のタイミングで書籍としてまとめることとなり、出版のタイミングで連載タイトルを「だえん問答」に変更されました。この「だえん問答」というネーミングは、Tokyo Work Design Weekを主宰されている古くからの友人・横石崇さんとの雑談から生まれたものでした。
本国の〈Field Guides〉が休止してしまった2021年のある時期から、毎回取り上げるべき対象がぴしりと特定することができず、『Quartz』と連載との関連性が薄れてきてしまったため、100回目を境に連載をお休みすることにしました。2020年の4月26日に第1回が配信されてからさまざまなトピックを取り上げてきましたが、大きくフェーズ分けするならば「コロナ」「オリンピック」「ウクライナ」の3部に分けられるそうです。
ひとつの記事に多い時で1万2千字ほどの文章を綴るわけですが、若林によればそれほど苦な作業ではなかったと言います。また、「なぜ今このテーマを取り上げるのか」という問いを契機に、あれこれ検索し、理解の道筋を自分なりに立てる作業は、自分の思考の枠を広げる訓練として大いに役に立ったとも言います。
ここで培ったスキルは、黒鳥社のコミュニティプログラム〈blkswn lounge〉で実施している「仮想編集会議」や、「検索の学校」といったプログラムにおいて大きく役立っています。