NEXT GENERATION GOVERNMENT
概要
「小さい政府」や「大きい政府」の二元論を超えた新しい発想 に基づく「行政府」が、いままった無しで構想される必要がある、そんな危機感からつくられた書籍『NEXT GENERATION GOVERNMENT 次世代ガバメント:小さくて大きい政府のつくり方』。
若林恵がエストニアやデンマーク、フィンランド、インド、英国など海外 諸国の「ガバメントのデジタルトランスフォーメーション」について学びながら、さまざまな角度から「行政府の未来」に迫りました。行政府関連の書籍としては異例の3刷を記録し、数多くの行政関係者から取材・イベント出演のオファーをいただくきっかけとなりました。
成り立ち
2018年末に刊行した『NEXT GENERATION BANK:次世代銀行は世界をこう変える』(黒鳥社)を制作していた頃から、「次はガバメントだな」と考えていたと若林は言います。
本書にはふたつの対話、デンマーク・デザイン・センターCEOのクリスチャン・ベイソンさんへのインタビューと、2019年8月に発表された報告書「21世紀の『公共』の設計図」を取りまとめた、瀧島勇樹さん(経済産業省)とのやり取りが底流にあります。
若林が編集・執筆を担当した『デザイン経営ハンドブック』(特許庁)でインタビューさせていただいたベイソンさんには、ガバナンスDXの第一人者としての見地から、そもそもの行政機構の形態や、なぜ変革を求められているのか、などの概論を丁寧にご教示いただき、瀧島さんには、ガバメントの仕事に従事する当事者として本書の企画に全面協力いただき、企画の段階から有意義な視点とインサイトを授けていただきました。
「D.I.Y.なパンクムック」と若林が本書を称するように、企画・編集・執筆をすべて若林が担当。これまでに培ってきた知見やインタビューをもとに、ガバメントのイノベーションについて縦横無尽・四方八方・融通無碍に綴った論考に加え、序論、あとがき、コラム32本と、2〜3週間ほどで一挙に書き下しました。
「次世代ガバメント」を言語化してまとめるにあたって、いろんな論点が錯綜した複雑な構成になっており、それらを「財政」「コミュニケーション」「SDGs」と、従来の章立てで分類することがしっくりこなかったため、情報をランダムな点のネットワークとして提示する編集方針を採用。こうしたことから、雑誌でもなく、書籍でもない、ZINEのような粗削りなペーパーバック感のあるアートディレクション/デザインをもってパッケージ化されました。
加えて、聞き手も話し手も若林が務める「仮想対談」という形式を大々的に採用したのは、本書が初めてでした。本書以後「仮想対談」はお馴染みの手法として重用されるようになります。また、「行政府」をめぐる一連の自由研究は、政治学者の宇野重規さんとの2023年秋刊行の共著『実験の民主主義』へともつながっていくこととなります。
2020年4月に、刊行時の発売元だった日本経済新聞出版社が日経BPと経営統合したことで、黒鳥社が発売元も引き受け、現在は〈特装版〉として販売しています。