NEXT GENERATION BANK
概要
あらゆる人がよりよく生きるために、金融システムはどう変わるべきなのか?来るべき銀行の理念・構造・機能を、キャッシュレス・モバイルバンク・仮想通貨・情報銀行・信用スコア・個人主権・GDPR・トークンエコノミー・分散主義・AIチャットボット…さまざまな事象からを読み解いた『NEXT GENERATION BANK:次世代銀行は世界をこう変える』。
黒鳥社発行の書籍第1弾は、発売を日本経済新聞社(現・日経BP社)が担当し、FIN/SUMとのコラボレーション、150名規模のカンファレンスの開催など、ビジネスパーソン全般をターゲットにしたプロジェクトとして展開しました。
成り立ち
「若林さんとお話がしたい」と、林尚見さん(三菱UFJ銀行常務・当時)が直々に『WIRED』編集部へ問い合わせくださったのは、若林が日本版編集長をしていた2017年のこと。
『WIRED』日本版の特集「ブロックチェーンが世界を変える」のなかでデジタル・シンカーのドン・タプスコットさんのインタビューを若林が担当したご縁から、同年の秋にダイヤモンド社から発売された著作『ブロックチェーン・レボリューション』の解説を依頼され、その文章が林さんの目に留まったことから、突然の面談依頼が来たのです。
これからの「銀行」「通貨」あるいは「信用」といったことをあれこれと議論を重ねるうちに親交が深まり、黒鳥社設立後に林さんの後押しを受けるかたちで、「銀行の未来」に関するムックを制作することとなりました。若林は、ロンドンでデイヴィッド・バーチ氏(『ビットコインはチグリス川を漂う』著者)のインタビューを行ったほか、「アリペイ」について学ぶ機会があったことが、デジタルイノベーションの考え方を大きく変えるきっかけになったと言います。ここで得た中国のDXの先進性への興味は、のちに、「ANOTHER REAL WORLD」の上海・深圳ツアーにご同行いただいたビービットの藤井保文さんの仕事への興味ともつながっていきます。
また、かねてより敬愛してきたアメリカのメディア批評家ダグラス・ラシュコフの「『デジタル分散主義』の時代へ」という文章を翻訳転載したことにも大きな意義がありました。よりサステイナブルで循環的なデジタル経済のありようをイメージする上で、この文章はいまなお価値があると若林は言います。
また、瀧島勇樹さん(経済産業省)に教えていただいた「インディア・スタック」の話も興味深く、「金融のデジタル化」と「行政府のアップデート」とセットになって成立することにも気づかされました。それが翌年の、DXに焦点を当てた『NEXT GENERATION GOVERNMENT』刊行へとつながっていくこととなります。