GDPR Master Class Vol.01
概要
GDPRのもたらす衝撃と、そこから始まる新しい社会のかたち。その深層をめぐって、『さよなら、インターネット:GDPRはネットとデータをどう変えるのか』(ダイヤモンド社)を刊行したメディア美学者・武邑光裕さんが、若林恵を聞き手に論じるイベントをダイヤモンド社と共催しました。
成り立ち
メディア美学者の武邑光裕さんのお名前は学生時代から思想誌などで見かけていたと若林は言います。実際に知己を得たのは、ゲームクリエイターの水口哲也さんが運営をお手伝いされていた「武邑塾」を通してでした。そこでご縁ができたことから、当時ベルリンに滞在されていた武邑さんに、「REAL WORLD」のベルリンツアーで訪問先のコーディネーションをお願いしたのが、お仕事でご一緒した最初となりました。
そのベルリンツアーで得た最大の収穫は、GAFAなどのビッグテック企業への対抗措置としてヨーロッパで構想されていた「GDPR」(EU一般データ保護規則)をめぐる潮流について、武邑さんから教えていただいたことでした。2017年当時、日本ではほとんど話題になっていませんでしたが、2016年のトランプ大統領の当選以降、インターネットの負の側面が明らかになっていたなか、欧州発の「GDPR」がどんな影響を世界にもたらすことになるのか、興味はつきませんでした。
やがて、「GDPR」の施行が近づくにつれ、日本国内でも関心が高まり、2018年に武邑さんの著書『さよなら、インターネット:GDPRはネットとデータをどう変えるのか』(ダイヤモンド社)が刊行されることとなります。若林がこの本の解説を書かせていただいたご縁から、一般向けのレクチャーを実施しようとなり、開催したのがこのイベントです。
当初はイベントのシリーズ化も考えてはいたもののうまく継続できませんでしたが、こうした一連の流れから、武邑さんの単著『プライバシー・パラドックス:データ監視社会と「わたし」の再発明』の企画が生まれ、2020年11月に黒鳥社で刊行することになりました。